説明
１９６０年代の終わりを迎える頃、時計業界にとっては大きな転換点の到来を迎えようとしていました。 それはそれまでのスイス時計業界を支えていた機械式時計から、電池でモーターを作動させ水晶振動子を組み込んだ電子回路で均一な時間の制御をするクォーツ（電池式）時計が主流になり替わっていくという製造メーカーとしての革命的大変革が起ころうとしていました。 いわゆるクォーツショックと呼ばれた機械式時計業界にとっての最大の危機であった訳です。電子部品と僅かな部品で構成される精度の高い電池式時計は、機械式時計に比べてはるかに製造時間の短縮により製造コストが抑えられ経営面においても大きな利点がありました。 しかしスイス時計業界は、電池時計の精度の高さという意味での存在は認めたものの、決して機械時計を過去の遺物として見限る事はしませんでした。 本来持っている伝統工芸としての機械時計の評価は、決して電池時計に浸食駆逐される物ではないというプライドが機械時計専門メーカーにはあったに違いありません。 結局大きな流れの影響はかなり受けたものの、一部で電池時計を製造しつつもあくまでも機械時計の製造を中心として大きなうねりを乗り越えていきました。 その様な中で、１９７０年代に入ると機械時計を更に進化させるうねりと、デザイン的な流れの中で、ケースの形を大胆なものにしたり、文字盤の装飾性を高める為にマルチカラーにしたりと今となってはその時代ならではの特徴的なものが産み出されて行きました。 １９６８年にオメガ社もこのダイナミックという新機種の発表に至りました。大き目の楕円形型で多色使いの文字盤の特徴的なモデルは、その当時の流行の最先端と位置づけられ、画期的なヒット商品となりました。
このヒット以降、オメガ社の各定番モデルもやはり大き目で思い切ったケースデザインと多色使いの文字盤のモデルが増え、スイス各社も同じ流れで機械式時計が製造されました。 この時計はダイナミックの女性用手巻きモデルとなります。２ピースケースで ケースとブレスレットの接続方法もケース裏側でスクリューリングで固定される様式となっています。 大きな傷のないとても良いコンディションとなっております。
