Description
手巻きデイトナモデルの誕生から製造中止までの変遷
元々ロレックス社初のクロノグラフモデルは1926年製造のワンプッシュ型10.5リーニュキャリバー搭載モデルであったようです。その後現在まで継続モデルとなった最初期手巻きデイトナモデルは前期のボタン型プッシャー(ノンオイスター型)がそれまでのヴァルジュー社22系23系そして72系と変遷を重ねその集大成として1963年頃に発売に至り、最初期においてはロレックス社の広告に”ル・マン”モデルとして登場しました。 それから直ぐに文字盤にDAYTONAのプリントが加わりましたので恐らくアメリカのデイトナビーチにありますレース場運営会社とのスポンサー契約が成立し、その名がコスモグラフと同時に正式モデル名となったようです。ボタン型プッシャーの創成期(REF.6239・6241)にはDAYTONAのプリントが無いものがあったり12時側にプリントされたり、6時側のアワートータライザー(12時間積算計)の上にプリントされたりその大きさがまちまちであったりと創成期ならではの今となってはイレギュラーパターンが存在しホワイトプリントと呼んでおりますが、ホワイトもあればシルバー系色(1960年代はシルバープリントが多く存在)もあったりで、定着性の無い創成期ならではかと思います。 1960年代の後期(1967年頃)に初めて防水型(50M)プッシャーのモデル(REF.6240)が発表されました。またほぼ同時期(1970年)にバランスホイールブロックを改良して振動数をいままでの18000から21600に改良した高精度新規キャリバー727が誕生し、ほぼ同じ時期に防水ケースと新規キャリバーが生産ラインに準備できた訳ですが、恐らく生産管理をしていた担当者がケースと新規機械の生産状況を見極めた挙句に登場しましたのが、旧型ケース(ボタンプッシャー)に新規キャリバー727搭載のモデル、REF.6262、6264、そして逆に新規防水ケースに旧型キャリバー搭載のモデル、REF.6240を若干の交換用部品のストックを残しながら製造したものと思われます。1970年を過ぎるとこれらの融合モデルと並行しながら新規防水型モデル、REF.6263・6265が正式に登場し防水ケースに新規高精度キャリバー727の安定的製造となりました。
その頃、もう一つ大きな変更を強いられる事態が勃発しました。 それは恐らくスポンサー契約が切れたか、商標の使用に金銭的なものが生じたからかと思いますが、1970年頃より1978年ころまではデイトナの文字は文字盤から忽然と消えました。 1970年~1971年頃まではアーカイブから見ますとDAYTONA表記は文字盤にあるものもあったようですが、その後1970年の初頭から1977年まではDAYTONA表記はロレックス社のカタログからもまったく消えて仕舞いました。再びDAYTONAの文字が復活しましたのは1978年頃からで、赤いプリントで後にビッグデイトナと呼ばれる大き目のプリントが標準的アワートータライザー(12時間積算計)上にプリントされました。 1989年に新規自動巻きクロノメーターキャリバー4030の登場を以って手巻きデイトナの歴史は閉じられました。
TIFFANY社とのコラボレーションモデルの誕生
1950年代初頭よりティファニー社はロレックス社の時計の販売を始め、古くはバブルバックモデルもティファニー社とのWネームモデルが存在しておりました。1994年にロレックス社とティファニー社の間の契約が切れ、残念ながらロレックス社の時計がティファニー社の店頭から消えました。約40年間に亘る販売を中止した背景にはティファニー社側の高級自社モデルの販売促進、又、時を同じくしてアメリカ市場においても新たな販売代理店契約の見直しと、ティファニー社に対してのロレックス社側からの要求にお互いの条件が合わなかった点が、契約解除の原因と云われています。事実ティファニー社の時計部門が売り上げのシェアを伸ばして行き、ロレックス社の時計をある時点からティファニー社の自社時計部門で文字盤のプリント加工を手掛けるようになり、針の歪みや、不具合発生率が増え、ロレックス社側から改善要求が出ていたのも背景にあると云われています。何れにせよ、時計愛好家の人気モデルが販売される事は残念ながら無くなって仕舞い、時計本体のシリアル番号的にはN番シリアル(1992年モデル)辺りを最後にロレックス社の時計は店頭から消えてしまいました。 1950年頃よりロレックス社の時計の文字盤にTIFFANY&Co.のプリントが成されるようになりましたが当初はロレックス社側の文字盤下請けメーカーによって文字盤がプリントされ製品としてティファニー社に納品されておりましたのでその時期まではロレックス社側のプリントとティファニー社名のプリントが殆ど同じ色でプリントされてたようです。ですので当時の文字盤はロレックス社の下請けメーカーが数社あった様ですのでティファニー社の提示するフォントがそのメーカーの版によっても若干異なっていたようです。 但し基本フォントは一緒なので年代に因るフォントの違いは年代を示すある程度の目安となっております。但しロレックス社への発注とそれを受ける側のロレックス社の下請け文字盤メーカーとの間でフォント変更時に製造側の時間的都合やまた下請けメーカーの版を制作する時間的なギャップもあったと思われますので必ずしも年代であらゆるモデルが存在する中できちっと製造時に指定フォントで成されたかは疑問に残るところかと思います。 しかしデイトナに関しましては文字盤下請けメーカーがSINGER社のみとなりますのでかなり年代特定の材料となる事は可能性としては高いと思われますが、年代に因ってはシンガー社の都合で前の版を使用したりの可能性は否定出来ません。 また他のモデルにおいては下請け先が違えばフォントの版が若干異なるものがあるのも面白いところかと思います。 総じては年代によってまた文字盤下請けメーカーに因ってフォントが異なるのも紛らわしいところですが面白いところかと思います。 このプリントの変遷は同社のカタログ、広告等で違いが垣間見る事ができます。 但し1980年代の中期頃から先に述べましたようにティファニー社の時計部にてロレックス社の入荷品から文字盤を外してプリントするようになった様で1994年の販売中止までのフォントが全て同じ形式のものとなっています。 またその為かその時期の社名プリントはロレックス社の当時かなり技術力が上がったプリントに比べますとやや滲み等少し雑な感じも否めません。 ですのでその後登場します数々のフェイクプリントと見分けにくいのも悩ましいところでもあります。
ご検討にあたって
さてここでご紹介させて頂きましたデイトナモデルは1960年代後期のモデル番号6262のTIFFANY社の為に製造されたデイトナモデルです。 先の二つのご説明を読んで頂ければ特徴的年代の製造モデルであり同時にこの年代に特化したプリント形式でも一致するモデルである事がお分かり頂けるかと思います。 今回は同じ年代のティファニー社のカタログより同一のプリントサンプル写真資料もご紹介させて頂きました。 但しロレックス社の時計は文字盤を同モデル系同士で交換も十分可能です。 文字盤仕様が当時のモデルと一致するものであってもそれだけを持って100%当時のそのままのオリジナルである証明は非常に難しいのも事実です。 どうかこの時計にご興味がおありの方はご自身の判断でご検討頂ければ幸いと存じます。











